電気設備の設計者が、図面と現場の両方から、仕事や資格などの話を書くサイトです。

設計の図面と、現場での実際の違い(現場から設計に移った電気屋の話)

仕事

今は電気設備の設計をしていますが、以前は工事会社で現場に出ていました。この記事では、現場と設計の両方を経験して感じた「図面と現場の違い」を書いていきます。

具体的な建物や工事の話ではなく、よくあるパターンとして書いています。

結論

  • 設計図は、細かい寸法までは描かないもの。 高さや寄り寸法まで検討して図面にするのは施工図です。
  • 現場で図面どおりに収まらないことは、実際にあります。 配線が通せない経路、ふかしが浅くてスイッチやコンセントが収まらない、空調の配管とケーブルラックがぶつかる、などです。
  • 現場を知っているから描ける図面があります。 経験者目線をもつことで完成度をあげられると思います。

現場から設計へ

工事会社にいたころも、施工図や簡単な設計図は描いていました。そのうちに、こっちのほうが自分には向いていると思い、設計の仕事に移りました。十数年前のことです。

現場にいたころ、図面どおりにいかなかったこと

現場で「これは収まらない」と思ったのは、たとえば次のような場面です。

  • 配線の経路が、実際にはケーブルを通せないところになっている。
  • スイッチやコンセントが、ふかしの中に収まらない。 最近は構造上、強度の問題で、柱にスイッチやコンセントを埋め込んで付けることができません。そのため、壁をふかして取り付けるのですが、そのふかしが浅くて収まらないことがあります。

「ふかす」というのは、躯体(建物の骨組みになるコンクリートなど)と仕上げの壁のあいだに、空間を作ることです。この空間が浅いと、ボックスや器具が入りません。

現場ではどうしていたか

図面どおりにいかないときは、施工図で直すのはもちろん、職人さんに相談したり、建築図を修正してもらったりします。たいていはそれで対処できますが、場合によっては、まったく別のやり方になることもあります。

図面にないのに、必要になるもの

細かい部材は、図面に載せなかったり、数量に計上しなかったりすることはあります。

ただ、ある程度大きな部材が、図面にないのに現場で必要になるとしたら、それは設計上の不備だと思います。途中で変更があって、やり方が変わった場合は別ですが。

設計図と施工図の違い

ここは、現場で図面を見る人にも知っておいてほしいところです。

設計図は、あくまで設計図です。高さや寄り寸法といった細かい寸法までは書いていません。そういう細かい部分まで描かないのが設計図で、これは建築図も同じです。

施工図は、この設計図をもとに、施工する側が施工要領に照らして、高さや寄り寸法などの細かい部分まで検討し、それを図面にしたものです。この図面があれば、職人さんは迷うことなく施工ができます。

設計の側から見ると、施工図のチェックも大切な仕事のひとつです。

設計図施工図
描く人設計者施工する側
細かい寸法(高さ・寄り寸法)書かない検討して書く

空調との取り合いは、わりとある

ほかの設備との取り合い(ぶつかり)で多いのは、空調です。電気も空調も天井の中で施工することが多いので、空調の冷媒配管とケーブルラックの干渉がよく起こります。

天井の中に余裕があればいいのですが、余裕がない場合は、かなり苦労します。

図面を描くときに気をつけていること

前に工具の記事でも少し触れましたが、図面を描くときは、実際の施工が図面とほぼ違わずにできるかを、建築図から検討しています。

この場所に配線を通せるか、器具がちゃんと収まるか。現場にいたころに「収まらない」と困った経験があるので、そこは気にしながら描いています。

工具の話は、電気工事の工具の記事にまとめています。

現場を経験してよかったこと

現場を経験したからこそ図面が描ける、という部分はあると思います。

現場がわかっていなければ、さきほど書いたような、ケーブルが通らない経路や、器具が収まらないふかしのような、とんちんかんな図面になってしまうかもしれません。

資格の話は、1級電気工事施工管理技士の記事に書いています。

現場で図面を見る人へ

設計の側も、なるべくわかりやすく、不備のない図面を描くように心がけています。

図面は、上司のチェックや発注担当者のチェックを重ねて、やっと工事に移せるものになります。それでも抜けがあるかもしれません。そのときは、優しく指摘してもらえるとうれしいです。